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名刺を新しく作成したり、追加で印刷したりするとき、どのような方法で名刺を用意していますか。
名刺の作成・印刷には大きく分けて2つの手段があります。
ひとつは、会社や家庭のプリンターを使って自分で手軽に印刷する方法。もうひとつは、印刷会社に依頼してプロによる仕上がりを得る方法です。特にオンライン印刷を利用する場合は、「オフセット印刷」「オンデマンド印刷」といった専門用語を目にすることも多いのではないでしょうか。
この記事では、自宅やオフィスで可能なセルフ印刷から、プロに依頼する方法まで、それぞれの特徴をわかりやすく整理してご紹介します。読み終える頃には、あなたの目的・予算・仕上がりのクオリティに合わせて、最も効率的で満足度の高い名刺作成の方法を選ぶ時の参考に役立ててください。
選択肢① 手軽な自作:家庭用・オフィス用プリンターでの名刺印刷

最も手軽に挑戦できるのは、家電量販店などで販売されている名刺用の専用用紙を購入し、社内やご家庭のプリンターで印刷する方法です。A-one(エーワン)などから様々な用紙が販売されており、その場ですぐに必要な分だけ刷れるのが最大のメリットです。
また、インクジェットプリンターの場合は、基本のCMYK 4色に加えて6色・8色のインクを備えている機種もあり、写真やグラデーションを非常に美しく再現できます。また、インクの噴射が精密で正確にコントロールされており、紙の繊維に染み込み混ざり合い専用用紙へ印刷を行うため、色ブレを感じさせない安定した色味を再現しやすいプリンターです。
自分で工夫をしながら美しい仕上がりを印刷する楽しさも、この方法ならではといえるでしょう。
しかし、実際にやってみると次のような課題に直面します。
- 仕上がりの品質
ミシン目から切り離すタイプは、フチがわずかにギザつき、見た目が安っぽくなりがちです。名刺は第一印象を左右するツールのため、会社の印象やイメージを損ねる可能性がございます。 - 印刷の難易度と時間コスト
両面印刷でズレを出さないように調整するのは意外に難しく、何度も試し刷りが必要になります。最初は手軽に思えても、調整や切り離し作業に時間を取られてしまい、気づけば「タイパ(時間対効果)」が悪くなります。 - 用紙と耐久性の制限
選べる用紙はプリンター対応の市販専用紙に限られ、紙質や質感の選択肢はかなり限られます。また、インクジェット印刷は水滴に弱く、雨や汗でインクがにじみやすいのも致命的な欠点です。
このように「安く簡単に済む」と思いがちな自作名刺ですが、仕上がりに妥協できないビジネスシーンでは、決してコストパフォーマンスが高いとは言えません。むしろ、限られた時間を調整や作業に費やしてしまい、結果的に割高・非効率になるケースが多いのです。
そこで、データさえ完成すれば、もしくはデザイン作成からでも、プロの印刷会社に依頼するほうが見栄え・コスト・タイパのすべてにおいて最適な選択となります。
選択肢② プロの品質:印刷会社へのオンライン依頼
クオリティを重視するなら、プロの印刷会社にオンラインで依頼するのがおすすめです。気になるコストや、納期など、印刷会社によってバラバラですが、最新の印刷機械を使用するため高品質なのはもちろん、自作にはない多くのメリットがあります。
- 豊富な用紙の選択:一般的な名刺用紙から、和紙、厚紙、特殊紙まで、企業のイメージに合った用紙を選べます。
- 高い印刷品質:業務用印刷機による、ムラのない美しい仕上がりを実現します。
- 手間がはぶける:面倒な印刷設定や断裁はすべて任せられます。
- 特殊加工が可能:角丸加工や箔押し加工など、特殊な加工で他と差をつけることができます。
名刺を依頼する際の印刷会社では、主に「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」という2つの印刷方式が使われています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
高品質・大部数なら「オフセット印刷」

オフセット印刷は、チラシやパンフレット、書籍など、商業印刷で最も広く使われている印刷方式です。印刷したいデザインの「版(PS版)」を作成し、その版にインクを付け、一度ゴムのローラー(ブランケット)に転写(Off)してから紙に印刷(Set)します。小学生の時に学んだ版画をイメージするとわかりやすかもしれません。
この工程から「オフセット印刷」と呼ばれています。
オフセット印刷の製造工程の流れ

オフセット印刷のメリット・デメリット
メリット
- 高精細で美しい仕上がり:インクの細かな表現力が高く、写真やグラデーションも綺麗に再現できます。
- 大部数ほど単価が安くなる:一度版を作ってしまえば高速で大量に印刷できるため、印刷枚数が多くなるほど1枚あたりの単価が下がります。(目安として1,000枚以上)
- 特色が使える:CMYKの4色では再現できない特定の色(企業のロゴカラーなど)を「特色インク」として指定して印刷できます。
- 対応用紙が豊富:様々な種類の紙に対応可能です。
デメリット
- 納期がかかる:印刷前の「製版」「乾燥」という工程が必要なため、オンデマンド印刷に比べて時間がかかります。
- 小部数だと割高:「製版」のコストがかかるため、少ない枚数の印刷には向いていません。
オフセットは、なぜ高品質?「Japan Color認証制度」とは
オフセット印刷は、その日の気温や湿度に合わせて職人が色を調整して印刷を行うため、色ブレが少なく安定した品質を保てます。
特に、「Japan Color認証制度」を取得している印刷会社は、色の標準的な基準を設けて品質管理を徹底しているため、安心して依頼できる一つの目安となります。「Japan Color」は印刷会社が色の品質を安定させるための基準であり、同じ認証を取得していても、使用する紙や機械、環境によって色の仕上がりは異なります。そのため、印刷会社を変更する際は注意が必要です。
早い・小部数なら「オンデマンド印刷」

オンデマンド印刷は、オフセット印刷のような物理的な「版」を必要としない印刷方式です。デジタルデータを直接、専用の印刷機へ送り印刷するため、「要求があり次第(On-demand)」スピーディーに対応できるのが最大の特徴です。高性能な業務用レーザープリンターをイメージすると分かりやすいでしょう。
仕組みとしては、静電気とレーザーで感光体ドラムという部分にトナー(色の粉)を付着させ、それを熱と圧力で紙に転写・定着させます。
印刷会社によっては、導入されている機械の性能やトナーの種類によって、印字面が沢のある仕上がりになる場合がございます。
オンデマンド印刷の製造工程の流れ

オンデマンド印刷の仕組みと構造

静電気で各感光体ドラムに像(デジタル版)を作りトナー(粉状のインク)をその潜像部分に付着させ、紙に転写。熱と圧力で紙に定着して出力されます。

オンデマンド印刷のメリット・デメリット
メリット
- 短納期に対応:製版の工程がないため、データ入稿から印刷までの時間が短く、最短で即日の対応も可能です。
- 小部数の印刷が得意:1枚からでも低コストで印刷できるため、「必要なものを、必要な時に、必要な数だけ」注文できます。
- 版代がかからず低コスト:小部数の場合は版の作成費用がかからない分、安価に仕上がります。
デメリット
- 大部数だと割高:1枚あたりの印刷コストは部数に関わらずほぼ一定のため、1,000枚以上など大量に印刷する場合はオフセット印刷の方が安くなります。
- 熱に注意が必要:トナーを熱で圧着させているため、印刷面にさらにレーザープリンターで追刷りするなど、高い熱と圧力がかかるとトナーが溶けたり剥がれたりする場合があります。
- 用紙の制限:非常に厚い紙や、表面に凹凸のある特殊な紙には対応できない場合があります。
オフィスの複合機と何が違う?プロ用オンデマンド印刷機の秘密
「オンデマンド印刷がレーザープリンターと同じなら、会社の複合機と何が違うの?」と疑問に思うかもしれません。基本的な印刷の構造は同じですが、プロが使う業務用のオンデマンド印刷機械は、品質を安定させるための性能が大きく異なります。
- 優れた色再現性:印刷物はその日の気温や湿度によって微妙に色が変わります。プロ用の機械は、こうした日々の色のズレを自動で精密に調整する機能(キャリブレーション)が非常に優れており、グラデーションなどもムラなく美しく仕上げることができます。
- 対応用紙の多様性:オフィスのプリンターがコピー用紙のような薄い紙をメインに設計されているのに対し、業務用の機械は名刺で使われるような厚紙や、風合いのある特殊紙など、より多様な用紙に印刷できるよう、細かな設定が可能です。
【比較表】オフセット vs オンデマンド
項目 | オフセット印刷 | オンデマンド印刷 |
---|---|---|
版 | 必要 | 不要 |
得意な部数 | 大部数(1,000枚〜) | 小部数(1枚〜) |
印刷単価 | 部数が多いほど安い | 部数に関わらずほぼ一定 |
品質 | ◎ 高精細で美しい | ◯ 高品質 |
インクの性質 | 紙になじむマットな仕上り | 印刷面に光沢が出る |
納期 | △ 時間がかかる(数営業日〜) | ◎ 早い(最短即日〜) |
対応用紙 | ◎ 非常に豊富 | ◯ 豊富(一部制限あり) |
特色印刷 | 可能 | 不可(CMYKでの近似色) |
ニーズ | ・品質にこだわりたい ・大量の枚数が必要 ・特色を使いたい |
・急いで名刺が欲しい ・少ない枚数で良い ・コストを抑えたい |
主な用途 | ・チラシ/フライヤー ・パンフレット ・冊子/カタログ |
・名刺 ・はがき ・DM・少部数の資料/冊子/カタログ |
まとめ:最適な印刷方法を選んで、理想の名刺を作成しよう
名刺の印刷には、手軽な自作からプロによる印刷まで、様々な選択肢があります。
- 大部数で、色の再現性や品質を徹底的に追求するなら「オフセット印刷」
- 小部数を、早く、柔軟に、コストを抑えて作りたいなら「オンデマンド印刷」
それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の用途、枚数、納期、予算に合わせて最適な印刷方法を選ぶことが大切です。
当社のオンラインのオンデマンド印刷サービスでは、
- 最小ロット20枚から、必要な分だけご注文可能
- オフセット品質に迫る、2400dpi × 2400dpi の高解像度を実現
- 業界最小クラスのトナーにより、光沢を抑えたオフセット印刷のような自然な仕上がり
- 環境に配慮した用紙も豊富なラインアップから選択可能
名刺をきれいに印刷したい、名刺のデザインから相談したいなど、気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが最適なプランをご提案し理想の名刺作成のお手伝いをさせていただきます。