信頼を引き継ぐということ

現実と理想の狭間で

友人や家族、仕事仲間との会話は、現実的な問題の話しが多い気がします。
本当は理想を語り合う時間が欲しいものですが、現実は次から次へと課題に溢れてるから仕方ないのかもしれません。

橋田壽賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」
参照:TBSチャンネルHPより

突然ドラマの話となりますが、『渡る世間は鬼ばかり』をご存知の方も多いかと思います。実に次から次へと家族の悩ましい問題が描かれる物語です。
中でも事業継承のテーマが好きです。

岡倉大吉が開いた和食店「おかくら」は、長年の常連客に愛されてきましたが、5人の娘たちはそれぞれ嫁ぎ、店を継ぐ者がいないという課題を抱えていました。
一方、中華料理店「幸楽」は長男の勇が継いでいましたが、次世代の子供たちは必ずしも店を継ぐことに前向きではなく、家族内で意見が分かれる場面もありました。

こうしたドラマを見ていても、事業継承の難しさを感じます。実際、社長や店主がいなくなることで売上が下がるケースも多いですが、その背景には、後継者への引き継ぎの準備期間がなかったのではないでしょうか。

信頼を築くための工夫

引き継ぎ名刺

事業継承をスムーズに進めるためには、「ただいま事業継承中の役員の〇〇です!」と積極的にアピールし、関係者に安心してもらうことが重要だと考えます。
例えば、「引き継ぎ名刺」みたいなモノを活用し、
「幸楽のラーメンの味を継承中!次期責任者の〇〇です」
と取引先や仕入れ先、常連客に挨拶しながら、確実に引き継ぎを進めるのも一つの方法ではないでしょうか。

そもそも印刷物の目的は、情報を効果的にアピールするツールではありますが、パンフレットやチラシ、ポスター、名刺など紙媒体はデジタルとは異なり、物理的に保管できるため信頼性が高く、安心感を与えます。高齢化社会が進むにつれ、紙媒体は今後も重要な役割を果たし続けるのかもしれません。

信頼を回復した幸楽のチラシ作戦

チラシ大作戦
他にも、『渡る世間は鬼ばかり』には印象的なエピソードがいくつもあります。

その一つに、中華料理店「幸楽」が請け負ったケータリングのパーティーで、参加者に食中毒が発生したという疑いがかかる話があります。保健所が調査に入り、どの店の料理が原因かを特定することになりますが、結果的に幸楽の料理には問題がなかったことが証明されます。

そこで、幸楽のかずちゃん(長女・五月の娘・愛)が、保健所の検査により料理には問題なかったと事をアピールするためにチラシを作成し、駅前で配布するシーンがありました。チラシの内容が広まり、信用回復につながったことで、いつもの賑やかな幸楽が戻ってくる展開が印象的でした。
ビラ配りは、ターゲットに直接伝えたい情報を届ける効果的な手法です。ただし、駅前のシーンだったのですが、配布するには許可が必要な場所もあるので注意は必要ですね。

ドラマのクライマックスでは、幸楽の責任者であるキミ(勇の母)が、「子供がチラシを作って配るなんて、お店の恥になる!」と、かずちゃんの行動を厳しく叱る場面がありました。当時の価値観を反映したセリフですが、結果としてお客様が戻ってきたことで、彼女の努力が報われる展開は面白く、ぜひ見てほしいシーンです。ただ、大人でもビラ配りは勇気がいるし、恥ずかしさを感じるものですね。

チラシ配布の効果を示す印象的な例ですが、現代のビジネスシーンでも、パンフレットやチラシの配布は依然として有効な手段の一つです。特に展示会場での配布は、業界関係者が集まるため、パンフレットを渡したり名刺交換をすることで、見込み客との接点を作りやすく効率的な方法といえます。

デジタル時代だからこそ求められる紙媒体の信頼性

先週、あるソリューション系展示会に行った時の事でブースもQRコード、スマートフォンがないと展示会場にも入れるない。入場受付で名刺を2枚用意してくださいと言われ、ネームフォルダーに一枚いれて首からぶら下げる文化もなくなってました。
スマートフォンのアプリから事前登録の情報を元に受付で、QRコードかざして、プリンターで印刷!「結局、用紙大量に使ってるじゃないですかー」とびっくり。
会場でQRコードを提示して情報交換したあとに、「名刺あったらください」と言われました(笑)
なんだかシステムは便利だけど情報交換ツールが増えていくばかりで、「なんだか仕事が増えてしまうのでは」と、ついていけなくなります。

QRコードに登録する入力情報は、個人で自由になんでも情報登録できます。
しかし、仮に偽りがあったとしても、なんとなくデジタルは罪悪感が低くく感じてしまうのは、私だけでしょうか?

やっぱり紙媒体は改ざんが難しく、信頼性が高いため、名刺交換やチラシは会場では無くなるまで時間はかかりそうです。
デジタル情報・動画・写真など簡単に一瞬で改ざんできるAIの時代こそ、紙媒体の信頼度は高まると思います。
さらに紙質にこだわり、高級感や環境配慮の紙などで信用度を高めていく手法がより重要になるでしょう。
紙媒体の信頼性
これからは、どんな方法で本当に信頼できる情報を得る事ができるか、伝えるべきかが重要になってきます。
人生の選択で間違って得た情報で判断はしたくないですね。それとは別の課題で大事な情報を保管する事も心配あります。
紙媒体には通信エラーのシステム障害による不安はないですが、濡れたり、紛失したらショックです。スマートフォンは紛失したら何にもできなくなりますから、これもこわいですね〜。
重要な情報はメモ帳にも残して、最低でも緊急連絡先、友人や会社関係者など、最低限の予定など記録しておく必要なのかもしれません。
しばらくは、デジタルとアナログのハイブリッド管理は続くのではないでしょうか。

世代間の価値観の違いを乗り越えて

またまた話がドラマに戻りますが、『渡る世間は鬼ばかり』は、世代間の価値観の違いがテーマの一つです。親子の考え方が噛み合わず、必ず衝突が生まれるのがこのドラマの特徴です。
「昭和的な考え方」と揶揄されることもありますが、価値観の違いによる争いが終わらないのは、互いに価値観を押し付け合い、対立して、一旦距離置いて冷静に考えてから、距離が縮まるのがリアルな人間ドラマでそこが面白いところかもしれません。

しかし、会社の中での対立となると、笑って済ませられないケースもあります。
例えば、「利益追求による環境負荷の増大」と「環境保全への責任感」の対立は、多くの企業が直面する課題の一つです。
地球環境を守るために資源を大切にしよう!
「地球環境を守るために資源を大切にしよう!」
こうした理念のもと、作業効率を犠牲にしてでも環境負荷を抑える努力が求められることがあります。
自然環境(川、海、空、大気)を守るために、効率性を多少犠牲にし、「手間暇が大事」という姿勢で従業員に負担をかけることがあります。しかし、これは発展を止めるものではありません。むしろ、成長戦略に環境配慮を組み込み、環境負荷を軽減しつつ持続可能な社会を実現することが、私たちの使命なのです。
ただし、組織内の各部門や部署によって役割が異なるため、この取り組みの過程で様々な現実的な課題が次々と浮上することは避けられません。

信頼と責任を引き継ぐバトンを渡す

信頼と責任を引き継ぐバトン
『渡る世間は鬼ばかり』に登場する“鬼”とは、理不尽な冷たさや権力の押し付けを象徴しているともいえます。職場においても、厳しい条件を常識とされ、矛盾や理不尽さの中で働いていると、「鬼だぁ!」と叫びたくなる場面があるかもしれません。すみませんちょっと極端な見方かもしれませんが、社内や世代の対立で価値観の違いで争いに時間を使うより、次世代へバトンを渡せる仕組み、つまり、後継者を育成し、持続可能な組織を築くことが重要ではないでしょうか。

そのバトンとは何か?

なんだと思いますか?

バトンとは、権力や財産を引き継いでいく事だけではなく、信頼と責任を引き継いでいく事だと考えています。

世代が変わって、財産、技術、知識、ブランドだけ引き継いでも、信頼を失ってはブランド価値が下がってしまいます。
昨今、憧れた企業のブランド価値が下がる話しを聞くと悲しく思います。

我々社会人との責任として、新しい技術や知識を身につけていく事だけてなく、「家族のルーツの引き継ぎ」、「会社のルーツの引き継ぎ」、バトンを渡していけるまでの信頼と社会的責任の引き継ぎが、持続可能な世の中になっていくのではないでしょうか。
バトンを渡すときの理想は、次世代の人が受ける時に「素敵なバトンありがとうございます!」と思えるバトン渡したいですね。

名刺印刷やチラシ印刷作成の事業者をはじめたきっかけは『渡る世間』です。

一定の信頼を次世代へつなぐため、BATON PRINTのアップサイクル名刺印刷サービスを通じて、その想いを形にしています。
事業継承における信頼構築をサポートしながら、持続可能な未来へとつなげていきたいと考えています。