名刺の紙は、何を基準に選べばいいですか?
まず考えたいのは、誰が、どのように使う名刺なのかです。
使う場面から考える
例えば、営業担当のように名刺を多く配る場合は、紙の厚さが持ち運びやすさや、使いやすさに関わってきます。さらに、補充する回数や用紙による価格差も紙選びのポイントになります。 一方、店舗のショップカードでは、持ち運ぶ枚数よりも、紙の色や凹凸を生かしてお店やブランドの印象を伝えることを優先する場合もあります。
デザインとの相性を見る
会社の名刺でも、色を多く使ったロゴと、黒1色のシンプルなロゴでは紙との相性が違います。
紙の見た目や手触りだけでなく、まずは名刺の役割から考えると選びやすくなります。
名刺用紙にはどんな種類がありますか?
名刺用紙には、非塗工紙、コート紙、マットコート紙、凹凸や光沢などに特徴がある特殊紙などがあります。
さらに、再生原料や植物由来の素材を使った環境配慮紙もあります。
それぞれ表面の滑らかさや手触り、紙色などが異なり、同じデザインを印刷しても見え方が変わります。まずは代表的な紙の違いを簡単に見てみましょう。
非塗工紙(非コート紙)とは?
非塗工紙は、印刷面に塗料を塗って仕上げていない紙です。紙そのものの手触りを感じやすく、上質紙もこの仲間です。日本印刷産業連合会でも、紙は大きく非塗工紙と塗工紙に分けて説明されています。
BATON PRINTでスタンダードな用紙として扱っている「マシュマロCoC ホワイト」も非塗工紙です。表面が滑らかで白色度が高く、さらさらとした手触りがあります。
紙らしさを残しながら、文字やロゴをすっきり見せたい名刺にも使いやすい紙です。
コート紙・マットコート紙とは?
コート紙は、紙の表面に塗料を塗り、平らに整えた紙です。表面が滑らかなため、写真や色を表現しやすい特徴があります。
マットコート紙は、光沢を抑えた塗工紙です。強いつやを出さず、落ち着いた見え方にしながら、印刷した色も表現しやすい紙です。
BATON PRINTでは、マットな仕上がりの「ハイマッキンレー マットポストFS」なども扱っています。
▶︎ハイマッキンレー マットポストFS
上質紙と高級紙は同じもの?
上質紙は、紙の種類を表す言葉です。「上質」という名前ですが、単純に値段が高い紙という意味ではありません。
一方、この記事では「高級紙」を表面加工の分類としては考えません。BATON PRINTでも、マシュマロCoC ホワイト、ミルトGAスピリット-FS、アラベール-FSなど、性質の異なる紙を高級紙として扱っています。
紙の名前だけを見るより、白さ、表面、厚さ、手触りを確認する方が、名刺選びには役立ちます。
環境配慮紙は?
環境配慮紙は、非塗工紙やコート紙とは少し違う考え方です。
再生原料を使った紙、植物由来の素材を使った紙、森林認証を受けた紙などがあり、表面の特徴もそれぞれ異なります。 紙が作られた背景やアップサイクル用紙については、前回の記事「名刺の紙にもストーリーがある。アップサイクル用紙の特徴と選び方」で詳しく紹介しています。
名刺の紙にもストーリーがある。アップサイクル用紙の特徴と選び方
同じデザインでも、紙によって色や印象は変わりますか?
同じ印刷データでも、紙の白さや紙色、表面の状態によって見え方は変わります。
同じ名刺でも、紙を変えるとどう見える?
今回は、BATON PRINTのスタンダード用紙「マシュマロCoC ホワイト」と、環境配慮紙「GAバガス-FS シュガー」に、同じ名刺データを印刷して比べます。
GAバガス-FS シュガーは、サトウキビの搾りかすから作られたバガスパルプを10%以上配合した紙です。少しざらつきがあり、自然な紙色を持っています。
比較するのは、デザインの特徴が異なる4種類です。
A 色をしっかり使ったデザイン
色を多く使ったデザインでは、紙の白さや紙色による違いが見えやすくなります。

色を広く使ったデザインでは、紙の色や表面の違いが仕上がりに出やすくなります。
GAバガス-FS シュガーは、印刷した部分にも紙の質感が感じられ、ベタ面では表面がなめらかに見える部分もあります。また、紙そのものが自然な色味を持っているため、白い紙に比べると全体に少し黄みを含んだ見え方になります。
一方、マシュマロCoC ホワイトは白色度が高く、ベタ面もなめらかに見えやすいため、元のデータに近い発色になりました。 なお、印刷物の色味は用紙や印刷時の状態によってわずかに変わるため、今回の比較は実際に印刷した一例としてご覧ください。
色を広く使うデザインでは、発色だけでなく、紙の色や表面の質感まで仕上がりに影響するため、用紙との相性を確認しておくと安心です。
B 黒文字中心のシンプルなデザイン
黒文字を中心にした名刺では、色の違いよりも、紙そのものの色や質感が全体の印象に出やすくなります。

黒文字そのものの見え方には、大きな違いはありませんでした。
一方、GAバガス-FS シュガーは紙そのものに自然な色味があるため、同じ黒でも周囲の紙色との組み合わせによって、少し印象が違って見える場合があります。
また、今回の印刷では、紙の質感が文字の読みやすさを大きく邪魔することはありませんでした。
黒文字を中心にしたシンプルな名刺では、印刷色の違いよりも、紙そのものの色や質感が全体の印象に出やすいことが分かります。
C 細い線や細かな図形が入ったデザイン
細い線や細かな図形を使ったデザインでは、紙によって線の見え方や全体の印象が変わる場合があります。小さな文字や英字も含めて、細部まで見やすいか確認しておくと安心です。

実際に2種類の紙へ同じデータを印刷して比べると、マシュマロCoC ホワイトの方が元のデータに近い色味に見えました。
GAバガス-FS シュガーは、紙そのものの自然な色味の影響で、ロゴや細い線が少しくすんだ色味に見えます。
色のあるロゴや細かな図形を使う場合は、線の見え方だけでなく、紙色によって全体の色味がどう変わるかも確認しておくと安心です。
D 余白が多く、紙の質感が見えやすいデザイン
余白の多いデザインでは、印刷されていない部分が広いため、紙の白さや色、質感そのものも名刺の印象に関わります。

シンプルにロゴを配置したデザインでは、印刷部分が少ない分、紙そのものの色や質感が全体の印象に出やすくなります。
実際に比べると、GAバガス-FS シュガーは紙の自然な色味や表面の質感が見えやすく、マシュマロCoC ホワイトとは違った、少し上質で落ち着いた印象に見えました。
余白の多いデザインでは、紙の質感そのものをデザインの一部として生かすこともできます。
このように、同じデータでも紙を変えると、発色や文字の見え方、細い線やロゴの印象、余白の見え方まで変わります。
今回の比較では、マシュマロCoC ホワイトは元のデータに近い色味を出しやすく、GAバガス-FS シュガーは紙そのものの自然な色や質感が仕上がりに表れやすいことが分かりました。特に、色を広く使ったデザインや細かな図形では色味の違いが見えやすく、余白の多いデザインでは紙の質感そのものが印象の一部になります。
どちらがよいということではなく、色をできるだけそのまま見せたいのか、紙の風合いまでデザインとして生かしたいのかによって、合う用紙は変わります。
紙を変えるだけでも名刺の表情は変わるため、用途によっては増刷のタイミングで用紙を変えてみるのもひとつの方法です。ショップカードやイベント用のカードなどでは、季節や企画に合わせて紙の質感を変える楽しみ方もできます。会社名刺では統一感を保ちながら、部署や用途によって紙を変える方法もあります。紙による見え方の違いも含めて、自社らしい名刺を考えてみてはいかがでしょうか。
名刺の厚さは何を選べばいいですか?
名刺の厚さというと見た目や高級感をイメージしやすいですが、持ち歩く枚数や使い方も選ぶときのポイントになります。
1枚では分かりにくい厚さも、100枚では差が出る
紙1枚を手にしただけでは、厚さの差はそれほど大きく感じないことがあります。しかし、50枚、100枚と重なると差が分かりやすくなります。 そこで今回は、BATON PRINTのスタンダードであるマシュマロCoC ホワイト180kgと、厚みのあるミルトGAスピリット-FS スーパーホワイト220kgを、それぞれ100枚ずつ同じ名刺ケースに入れて比較します。
名刺ケースに入れたときの違いを比べる

営業担当のように多くの名刺を持ち歩く場合は、名刺ケースに何枚入るかも、紙を選ぶときのひとつの見方になります。
一方で、配る枚数がそれほど多くなく、厚みや手触りを名刺の印象として生かしたい場合は、厚めの紙を選ぶ方法もあります。
紙の厚さは、見た目だけで決めるのではなく、こうした使い方から考えてみるのもひとつの方法です。
凹凸や繊維のある紙は、どんなデザインに合いますか?
余白を生かしたシンプルなデザインや、紙の質感そのものを見せたいデザインと相性がいいです。
アラベール-FS スノーホワイトやマーメイド スノーホワイトのように表面に凹凸がある紙では、その質感自体をデザインの一部として生かせます。
一方で、ベタ面や細かな線、図形は、滑らかな紙とは見え方が変わることがあります。細かなデザインを使う場合は、仕上がりも紙選びのポイントになります。
また、植物由来の繊維などが見える紙の中には、繊維の入り方や紙色が1枚ずつ異なるものもあります。こうした違いを、紙そのものの特徴としてデザインに生かすこともできます。
社員が使う会社名刺などで、小さな文字や細いロゴを読みやすく見せたい場合は、紙とデザインを合わせて見ることで、仕上がりをイメージしやすくなります。
紙の色や質感をデザインに生かすにはどうすればいいですか?
紙を白い印刷面ではなく、デザインの一部として考える方法があります。
紙の色や質感をデザインの一部にする
例えば、紙色に特徴があるなら、印刷で全面を埋めず、余白を広く取ることで紙そのものを見せられます。 凹凸のある紙なら、シンプルなロゴや文字を配置して手触りを生かす方法もあります。パール感のある紙なら、光が当たったときの見え方までデザインの一部になります。
デザインから紙を選ぶ方法もある
反対に、細かな情報や写真、色数の多いデザインでは、滑らかな紙の方が目的に合うこともあります。 紙を選んでからデザインを考える場合もあれば、今ある名刺デザインを見ながら紙を選ぶ場合もあります。
会社名刺とショップカードの紙は、どう選ぶ?
使う場面が違えば、紙選びで優先することも変わります。
会社名刺は読みやすさと持ち運びやすさも考える
社員が日常的に使う会社名刺では、氏名や連絡先の読みやすさ、持ち運びやすさ、増刷したときの使いやすさなども重要です。
ショップカードは紙の素材感を生かす方法もある
一方、ショップカードやブランドカードでは、紙色や凹凸、光沢などを強く生かし、カードそのものの印象をつくる方法もあります。
BATON PRINTでは名刺だけでなく、ショップカードなど各種カードにも対応しています。同じロゴや色を使いながら、用途に合わせて紙を変えることもできます。
名刺の紙で迷ったら、どう選べばいいですか?
紙の種類が多くて迷ったときは、どのように使う名刺なのかを考えると、紙を絞り込みやすくなります。
使い方や希望から紙を絞る
「営業担当が持ち歩きやすい厚さにしたい」
「ロゴの色をできるだけきれいに見せたい」
「環境配慮紙を使いたい」
「特殊紙を使いたいけれど、今のデザインに合うか分からない」
こうした段階から紙を絞っていく方法があります。
紙だけでなくデザインとの相性も確認する
BATON PRINTでは、名刺専門の担当者であるプロのデザイナーに、紙選びやデザインとの相性について相談できます。現在お使いの名刺やデザインデータがある場合は、それを見ながら紙との相性を考えることもできます。
紙の特徴だけで決めるのではなく、デザインや使い方も合わせて考えることで、自社の名刺に合う用紙を絞り込みやすくなります。
よくある質問
名刺には厚い紙を使った方が高級に見えますか?
厚みは、高級感を感じさせる要素のひとつです。ただし、高級感は紙の厚さだけで決まるものではありません。デザインや色、紙の手触りや質感など、さまざまな要素が組み合わさって印象が変わります。
厚い紙を選ぶ場合も、名刺全体のデザインとの相性を見ながら考えると選びやすくなります。
普通の会社名刺なら、どんな紙を選べばいいですか?
まずは文字が読みやすく、幅広いデザインに合わせやすい紙から検討すると選びやすくなります。BATON PRINTでは、滑らかな非塗工紙のマシュマロCoC ホワイトをスタンダードな用紙として扱っています。
環境配慮紙でも会社名刺に使えますか?
使えます。ただし、紙色や凹凸、繊維などの特徴は紙によって異なります。環境への配慮だけでなく、ロゴや文字との相性も合わせて確認すると選びやすくなります。
今使っている名刺デザインのまま紙だけ変えられますか?
デザインによっては、そのまま紙を変更できます。ただ、紙色や表面の特徴によって色の見え方が変わる場合があるため、必要に応じてデータを調整する方法もあります。
紙選びからデザインとの相性まで相談できます
紙を変えてみたいけれど、自分たちの名刺にはどれが合うのか分からない。そんな場合も、まずは今の名刺やご希望をお聞かせください。
BATON PRINTでは、名刺専門の担当者であるプロのデザイナーが、デザインや使い方も確認しながら、用紙選びをご案内します。